
リウマチで朝の手がこわばるときのセルフ整体|腰・指・手首を図解

目次
初めに
今回は、リウマチで朝の手のこわばりや、指の曲げ伸ばしの引っかかりに悩んでいる方に向けて、当院でお伝えしているセルフ整体を紹介します。
朝食を準備する、顔を洗うなど、忙しい朝に手が動かしづらいと困りますよね。手に負担をかけずに取り組むための方法と、やさしく触れるときの力加減をお伝えします。
実技動画
理論編:朝の症状を身体全体から考える
当院に来られるリウマチの方にも、朝に手がこわばる、動かすと痛む、指が引っかかるなど、さまざまな悩みがあります。同じ病名でも、症状の出方や強く感じる時間帯は人それぞれです。
関節リウマチでは、免疫の異常によって自分の関節に炎症が起こり、痛みや腫れにつながります。私は、これを分かりやすく「免疫の暴走」と説明しています。炎症が続くと関節の変形や動かしづらさにつながることもあります。
一方、曲げ伸ばしのときに指が引っかかる「ばね指」は、腱や腱鞘の炎症によって起こります。関節リウマチの方に生じることもありますが、指の引っかかりをすべてリウマチによる関節の変形と決めつけることはできません。
「寝ている間は筋肉も休んでいるから、朝は動きづらいのでしょうか」と聞かれることがあります。ただ、朝の症状には個人差があります。私は、手だけでなく身体全体の状態にも目を向けています。
東洋医学の「腎」と内臓疲労という見方
当院では、東洋医学の「腎(じん)」に着目しています。ここでは腎臓だけでなく、自律神経や脳の働きなども含めたまとまりとして捉えています。その働きが疲れていることと、朝に強く現れる不調を関連づけてみる、当院の整体としての考え方です。
東洋医学の五臓の乱れを、当院では「内臓疲労」と解釈し、内臓の状態を整えることで不調の改善を目指しています。
今回は、まず腰の周辺に触れて「腎」の働きに着目し、次に炎症に着目するときに使う三陰交(さんいんこう)に触れます。そのうえで、指や手首の皮膚をやさしく動かす方法へ進みます。内臓からのアプローチと、関節の動きに着目する方法を組み合わせて考えています。
実技編1:腰をやさしくさする

最初は、腰の周辺です。このあたりには腎兪(じんゆ)などのツボがあります。私は、東洋医学の「腎」の疲れに着目するときに、この周辺の張りや硬さをみています。
触れたときに硬い、痛い、少し気持ちよいなど、感じ方は人によって違います。痛む場所を強く探す必要はありません。腰の張りをやさしくいたわるつもりで行ってください。
- 手のひらを腰へ無理なく回せる場合は、左右の腰にそっと当てます。
- 指で押し込まず、手のひらで軽くさするように刺激します。
- 20秒から、長くても1分ほどを目安にします。朝・昼・晩に分け、長時間続ける必要はありません。
指や手首がつらいときは、方法を変える
リウマチやばね指で、指の痛み、むくみ、こわばりがあると、指先で押すこと自体が負担になります。ツボを刺激するために、つらい手を酷使しないことが第一です。
手のひらを返せないときは、無理に手首を曲げず、手の甲側の拳の骨の部分を軽く当てる方法もあります。握り込むことが痛ければ、この方法も行わないでください。ツボ押し棒などの道具を使う場合も、強く押すのではなく、軽く触れるために使います。ご自身の手が楽な方法を選んでください。
実技編2:三陰交(さんいんこう)を刺激

次は、内くるぶしの上にある三陰交です。リウマチでは炎症による痛みや動かしづらさにも目を向ける必要があります。私は、東洋医学の観点から炎症に着目するときに、このツボを使っています。身体全体の状態をみる、当院のセルフ整体の一つです。
- 内くるぶしの頂点から、自分の指4本分ほど上を目安にします。
- すねの骨の内側のきわに、指の腹を軽く当てます。硬さや触れた感じを確かめたら、力を緩めてください。
- 指をその場所から離さず、皮膚が少し動く程度の圧力で、やさしくマッサージします。
- 20秒から1分ほどを目安にします。こちらも朝・昼・晩に分け、無理なく行ってください。
場所が分かりづらければ、手のひらで内くるぶしの上を広く覆うように触れても構いません。細かい一点にこだわって、指先に力を入れ続けないようにしてください。
手がつらいときは、道具を利用して軽く触れる方法もあります。ご自身が楽で、痛みの出ない範囲で行うことを大切にしてください。痛みを我慢して押したり、強い刺激を加えたりする必要はありません。
実技編3:指・手首の皮膚をやさしく動かす

ここまでは内臓からのアプローチをお伝えしました。最後は、指や手首の動きに着目する方法です。朝に症状が出る方が、手の状態を確かめながら取り組むためのセルフ整体です。
私は、普段よく使う指先や手首では、関節と、その上の皮膚のねじれにも着目しています。皮膚にやさしく触れてその動きを整えることで、下にある関節の動きにも働きかける、という当院の見方です。骨や関節をつかんで無理にねじり戻す方法ではありません。
指は、つままずに皮膚へ触れる
- 反対の手の指を、整えたい指の皮膚へそっと当てます。ぎゅっとつままず、皮膚の表面に触れる程度です。
- 指の関節そのものを回すのではなく、触れた皮膚を小さく、やさしく動かします。ぐりぐりと力を加えないでください。
- 指先・爪のまわりまで、軽い接触で順に行います。爪をつかんで回す必要はありません。
- 次の指へ移り、無理がなければすべての指を順番に行います。指全体を日頃からいたわるための方法です。
- 2セットほどを目安に、痛みのない範囲で行います。長く続ける必要はありません。
慣れてきても、力の強さより、皮膚へやさしく触れられているかを確かめてください。痛みの出る深さまで刺激を増やさないことが大切です。
手首も、皮膚の小さな動きを使う
- 反対の手で、手首のまわりを軽く支えます。
- 指のときと同じように、手首の皮膚に触れて、小さく動かします。手首の関節を強くねじらないでください。
- 手首の周辺にも小さな骨が集まっています。そのまわりも、骨を押し込むのではなく、上にある皮膚をやさしく動かすつもりで触れていきます。
私は、実演のように触れた前後で、手の軽さや動かしやすさを確かめています。ご自身でも、痛い動きを繰り返すのではなく、無理のない範囲で前後の違いを確かめてください。その場で変化が出ることを前提に、刺激を強くする必要はありません。
痛みや腫れ、熱感が強いときや、触れる・動かすことで症状が増すときは中止し、主治医に相談してください。
まとめ
朝に手が動かしづらい方へ、当院では、まず腰の周辺に触れて東洋医学の「腎」の働きに着目し、次に三陰交へやさしく触れ、その後に指や手首の皮膚を小さく動かす、という順でお伝えしています。
腰と三陰交は20秒から1分ほどを朝・昼・晩に分けて。指は2セットほどを目安に、何より手に負担のかからない方法を選んでください。強く押す、痛みを我慢する、関節を無理にひねることは必要ありません。
朝のこわばりや指の引っかかりは、日常生活に影響するつらい悩みです。当院でも、実際にこうした方へお伝えしている方法です。ご自身の身体をいたわり、朝の動作を少しでも楽にするための選択肢になればと思います。
参考文献:日本リウマチ学会「関節リウマチ(RA)」 / 日本整形外科学会「ばね指(弾発指)」 / 慶應義塾大学病院 KOMPAS「関節リウマチのリハビリテーション」
※セルフ整体は医療機関での治療に代わるものではありません。薬や治療を自己判断で中止せず、リウマチの診断や治療方針は主治医に相談してください。







